2004年09月17日

スウィングガールズ矢口史靖監督の講習会メモ

スウィングガールズの矢口史靖監督の講習会に行ってきました。
約2時間半ありましたが映画のことに限らず色々な話を聞くことができました。
せっかくなので要点をまとめました。ネタばれもあるかもしれないので見ていない人は読まない方がいいかもしれません。

前半はこの映画を作ることになったいきさつなど。インタビューなどで語られていることとだいたい同じ。

10個ぐらいシナリオを書いたりした。何回も書き直すのでスタッフが止めたりする。
映画館で見たいかどうかを一番に考える。
書いた絵をパソコンに取り込んで自分でビデオコンテを作る。

東北弁では字幕が必要になってしまう(笑)そこで、山形あたりにする。
標準語でセリフを書いてそれをフジテレビのアナウンサーの武田祐子さんが山形出身なので彼女に頼んで山形弁に代えてもらう。でもそれでもわからない。そこでさらに南の米沢弁に代える。
映画はすべて米沢弁。田舎だという設定もないのでこの世界では米沢弁が普通になっている。

最初は刑務所ものだった。
囚人達が脱走のために穴を掘って逃げようとする。掘っている時の音を隠すためにジャズバンドをやるというもの。でもこれを映画として見たいか?と思ってやめた。
女子高生がやるギャップがおもしろいから。

前回のことを避けてやるのはクリエイティブじゃなくマイナスになっている。おもしろければ似てる似てないは関係ない。
ウォーターボーイズの次だからガールズだというわけではない。
おばあちゃんがやっているのを見ていたらスウィングオバアチャンズになっていたかも。
とんでもない展開でもウォーターボーイズで認められていたので作りやすかった。

今回はけっこう手ごたえがある。
主人公の女性が最初は嫌な感じで始めは男性に感情移入するけど、ある時を境に主人公に感情移入していく作りになっている。

ウォーターボーイズの主人公やスウィングガールズの男性は監督自身。
女性の個性が強いのは自分が女性ではないから好きなようにキャラクターを作れる。
恋愛シーンが少ないのは苦手だから。でも今後は恋愛ものも撮るかもしれない。

学生時代から作品を作っていた。16ミリを取りたいけどお金がなかった。
だからぴあフィルムフェスティバルに出して賞金をもらおうと思ったらグランプリをとった。
そこからお金を出してくれる人がでてきていくつか作品を作りながら今日に至る。

ウォーターボーイズよりも制作費は約1億円多い。音楽の権利に数千万はかかっている。音楽がメインなのできちんとお金をかけている。

合宿は逃げられないところでやるのが鉄則(笑)遊べない地方で行う。

自分の作品には景色だけのシーン(芝居のないシーン)がない。
今回は入れようと思っていたけど結局入れなかった。
なぜ入れないかというと変化がないから。自分の経験で言うと何も変化のないシーンでは眠くなる。情緒があるとも言えるが自分の作品では使っていない。

音楽を使った映画なのでやり取りを音楽で語っているところがある。シナリオだけ読むとおもしろくないかもしれない。

イノシシのシーンは一度シナリオからはずした。でもぜひ入れてくれと言われて撮り方を一週間考えてあの方法を思いついた。今となっては入れてよかったと思っている。

スウィングガールズのテレビドラマ化はわからない。ウォーターボーイズのドラマも一切関わっていない。

ウォーターボーイズの時は監督に向いていないんじゃないかと思った。スウィングガールズではできあがったものを見て思っていたよりもよくできていて監督は楽しいなと実感した。今後も続けていこうと思った。

ギャグ映画を作っているわけではない。狙っているわけではなく常にストーリーが流れているという考え方。

まずはおおまかに流れを決める。その後にシナリオを書く。書いたものを奥さんに見せるがたいていダメだしをされる。うまくいかない時はいちから書き直す。

尺はなるべく短くしたい。楽しいままラストまで持っていきたい。

脚本の段階で撮るのが難しいとわかっているシーンを入れるのはポジティブではなく考えてないだけかも?でもスタッフがなんとかしてくれるというのもある。
撮っている時にたいへんでもいいものができたら後でみんな喜んでくれる。
いいものになるとわかっていたら途中で諦めてはいけない。

スウィングガールズの絵コンテ集が10月に発売される。

映画 | 2004年09月17日 21:06 | トラックバック
コメント

コメントどーもです。
もっと色々な話を聞いてみたい感じでした。
次はまだ考えてないと言っていたけど、次の作品が楽しみですね。

Posted by: Ryuichi : 2004年10月04日 00:31

こんばんは!

矢口監督の講習会、楽しく読ませていただきました!
少しだけだけど、作り方とかが分かって面白かったです。
ありがとうございました♪

Posted by: tomocetomoko : 2004年10月03日 21:45

コメントありがとうございます。
シナリオは色々考えて作られているみたいでした。
イノシシのシーンは書いている時は撮り方を考えていなかったらしいです。
方言は地域によって微妙に変わってくるんですね。

Posted by: Ryuichi : 2004年09月19日 20:58

 初めまして、とても興味深く読ませていただきました。
 東北弁→山形弁→米沢弁、なんですね。
そして、監督、やっぱりおもしろい方ですね。
 これからも監督の作る作品が楽しみです。

 あ、自分の居る地域でも日曜日特番やるので、かならず見ます〜。

Posted by: natoo : 2004年09月18日 02:46

こんばんわ。
コメントありがとうございました。
イノシシのシーンがカットされる可能性もあったのですかぁ・・・これがなかったら平均の評価がかなり下がっているような気がしますね(笑)
刑務所ものになっていたら『バンデッツ』と重なりますもんね。色々苦労したシナリオだったんですね〜
フジ系の特番がようやく石川県でも放映されますので、しっかりチェックの準備を整えています。

Posted by: kossy : 2004年09月17日 21:42
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