以前書いた”バンテージポイント”が8人の視点で見せているとしたら、
この映画は最後まで1人の視点でしか見せません。
だからこそあの緊張感と臨場感が味わえるのかもしれません。
”バンテージポイント”とはまったく違う体験ができます。
偶然ですがこの2つの映画を続けて見ることで、
”見せる視点による演出の違い”を感じることができて2度おいしかったです。
”バンテージポイント”は色んな人の視点で見ることで分かるおもしろさですが、
”クローバーフィールド”は何が起こっているのかわからないおもしろさです。
”バンテージポイント”と”クローバーフィールド”は続けてみると
視点の対比がわかるので両方見ることをおすすめします。
どちらの映画も予備知識がない方が楽しめるので何も調べずに見に行きましょう。
この映画を制作する側の視点で見た場合、ホームビデオで撮影したようにみせていますが
もちろん実際はそんなわけはなくて、適当に撮影したように見えますが
あのような映像こそきっちりと撮影の仕方を決めて撮っているはずです。
しかも、かなり長まわしのシーンも多く、相当綿密に打ち合わせをして撮影していると感じます。
”トゥモローワールド”が8分間ノーカットということで一部で話題になりましたが
あれが全編だと考えると気が遠くなります。
背景の破壊されているビルなどはほとんどCGですよね。
予告編にも出ていた飛んでくる自由の女神の頭も当然CGですね。
全編に渡ってよくあんなボケと手ブレのカメラワークで完璧にマッチムーブできますねぇ。
もちろん撮影時は手ぶれもボケもなく撮影して後で加えているところもあると思いますが。
今のVFXの技術があるからこそできる映画ですね。
そういう意味でもブレアウィッチプロジェクトとは次元が違うんじゃないでしょうか。
映画では普通に見えるシーンほど普通には撮影していません。
すごいと気づかないものほど実はすごいことをしているのです。
よく引用してますがこれです。
ストーリーもただ逃げているだけに見えるかもしれませんが、
色んな角度からあれを見せるためにかなりうまくストーリーが組み立てられています。
そこでそうするか?と思うシーンはそういう風に見せるためです。
ストーリーの流れはあれを見せる順番を考えた構成になっていますね
(ネタばれになるから書けませんが)。
映像も脚本も(さらに宣伝も)手を抜いているように見えて
実はかなりよく考えて作られた映画だと思います。
どうやら2の制作も進めているようなので、今度は別の視点で
この事件の真相を見ることができるかもしれません。
ちなみに日本のテレビCMはダメですね。
あんな緊張感のないナレーションはいらないです。
何も説明せずこの映像だけ流した方がいいです。